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長いながい、とても長いひとり旅に出るとしよう。
大きなスーツケースひとつと手持ちの鞄ひとつだけが許された荷物だ。そこに詰める物を今持っているすべての持ち物のなかから厳選し、残りは処分してしまう。
おそらくは、そうして選び抜いたものだけが本当に必要な財産だ。
困ることもあるかもしれないが、どうせ生死にかかわるほどのことではない。無人島に持っていくものを一つだけ選べという質問よりは、よほど選択の余地がある。

すこし前のことだが、夢を見た。
住いは大きく改築され、部屋から私の持ち物のほとんどが消えうせていた。どうやら捨てられてしまったらしかった。
だが私は失われたものに何の未練も覚えなかった。悲しみも怒りも感じなかった。むしろせいせいとした気分になった。
すっかり身軽になったことに喜び、どこかに行こう、と決めた。
目が覚めてからもうずくような期待と胸の動悸はなかなか消えなかった。

あれは願望だったか啓示だったか。
いずれであれ同じようにしなければ何も分からないし何も変わらない。けっきょく私は相変わらず多くの物に埋もれ動けずにいる。
だが、夢の続きのように、すべて捨て去ってどこかへ飛び出してゆきたい衝動にふとかられたりもするのだ。